目次
このシミュレーターの計算の基準
東京都帰宅困難者対策条例と企業の備蓄
このシミュレーターは、東京都帰宅困難者対策条例と東京都帰宅困難者対策実施計画が示す備蓄量の目安(1人あたり3日分で、水9L・主食9食・毛布1枚)をもとに計算しています。ここでは、その条例の中身と、企業に求められていることを説明します。
東京都は「東京都帰宅困難者対策条例」を平成24年に制定し、平成25年4月に施行しました。第七条2では、事業者に対して従業員の3日分の飲料水・食糧等を備蓄するよう定めています。
事業者は、前項に規定する従業者の施設内での待機を維持するために、知事が別に定めるところにより、従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない。
条例のポイント
- 01対象は全従業員雇用形態(正規・非正規)を問わず、事業所内で勤務する全従業員が対象です。アルバイト・パートの方、委託業者の職員も含まれます。
- 023日分の備蓄従業員の3日分の飲料水・食糧等を備蓄するよう定めています。
- 03努力義務です「努めなければならない」=努力義務。罰則はありません。都自身も「法的拘束力を持つものではない」と説明しています。
罰則はなくても、備えておきたい理由
第七条2の備蓄は、災害時に従業員が施設内で待機を続けられるようにするためのものです。罰則はありませんが、安全配慮義務やBCPの観点から実施が望まれます。
東京都が定める備蓄量の目安
東京都帰宅困難者対策実施計画の附則では、1人当たり3日分の備蓄量の目安を次のように定めています。数量が明示されているのはこの3品目のみです。
※いずれも1人当たり。その他の品目は「物資ごとに必要量を算定」とされ、各企業の判断に委ねられています。
+10% 都は、来社中の顧客・取引先など外部の帰宅困難者のために、10%程度の量を余分に備蓄することを検討するよう求めています。
算出根拠の解説
東京都の目安に含まれない、あわせて備えたい品目
都が数量を示すのは水・主食・毛布のみ。実際に3日間を職場で過ごすことを想像すると、目安だけでは足りないものがあります。
敷くもの|エアーマット
毛布1枚だけでは床の硬さ・冷たさは解決しません。空気層が断熱材になるエアーマットを、掛けるものと別にご検討ください。
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副食
主食9食だけでは栄養が炭水化物に偏るため、都も企業ごとの検討品目として缶詰等の副食を挙げています。
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電源|全員分は
生理用品|女性従業員への備え
都のハンドブックは女性用の休憩・就寝スペースには触れていますが、生理用品自体には言及がありません。ナプキン・処理袋等を別途備えます。
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要配慮者への備え
高齢者には介護食・使い捨て手袋、乳幼児には液体ミルク・紙おむつ、障がいのある方には補助具用バッテリーが必要です。
感染症対策
マスク・消毒液・間仕切も、都が備蓄品の例として挙げています。多人数が同じ空間で過ごすため感染が広がりやすくなります。
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口腔ケア用品
断水下では歯みがきができず、高齢者は誤嚥性肺炎のリスクが上がります。歯みがきシート・洗口液を備えます。
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現金(小銭)
停電時はキャッシュレス決済・ATMが使えません。自動販売機や近隣店舗での調達に備え、小銭を含む現金を用意します。
見落とされやすい「生活用水」
備蓄の話でまず挙がるのは飲料水ですが、実際に断水したとき最初に困るのはトイレと手洗いです。飲料水と生活用水は分けて考える必要があり、備蓄した飲料水を生活用水に転用すると飲む分が不足します。
必要量は施設によって変わります。受水槽の有無(断水時に使えるか管理会社に確認要)、最寄りの給水拠点までの距離、断水の想定期間によって変わるため、従業員数だけでは算出できません。給水拠点から水を運ぶ給水タンク・給水袋もあわせてご検討ください。
※東京都が定める備蓄量の目安(水9L・主食9食・毛布1枚)は飲料水についてのもので、生活用水は含まれていません。
保管スペースの考え方
備蓄で最も多い相談が「置く場所がない」というものです。
水(2Lペットボトル)・食料(乾パン)・毛布(真空パック)を高さ1mに積み上げた場合。200名なら約6㎡、500名なら約15㎡が目安(都ハンドブックQ&A)。※簡易トイレ・衛生用品を含めるとこれより広くなります。
拠点が複数ある場合
本社、工場、支店。拠点が分かれている企業では、拠点ごとに必要量を算出する必要があります。全社分を1か所に保管すると、道路が寸断されている可能性が高く、災害時に各拠点へ配送できません。拠点ごとに、その拠点の人数分を保管しておくことが原則です。
複数社がテナントとして入居するビルの場合、都は「原則として事業者単位の備蓄」としつつ「ビル全体での共同備蓄を妨げるものではありません」としています。
期限管理と買い替え
保存食も保存水も、備えた瞬間から期限に向かって進んでいきます。都も「賞味期限に留意しましょう」としています。「いつ・何が・どれだけ期限を迎えるのか」が把握できないまま、期限切れの在庫を抱えているケースは少なくありません。
導入時に、買い替えの時期と担当をあわせて決めておきます。保存年数が長い商品ほど買い替え頻度は減りますが単価は上がるため、運用体制とあわせて選定します。
参考資料・出典
本ページの数値および記載内容は、以下の資料に基づいています。
条例全文 P.42〜/条例Q&A P.46〜/実施計画 附則 P.49/備蓄の目安 P.15/チェックリスト P.21〜
東京都防災ホームページ|帰宅困難者対策
※簡易トイレの回数(1人1日5回)は内閣府ガイドラインが計算基準としている数値です。※本ページの計算結果は目安であり、実際の必要量は事業所の立地・業態・従業員構成により変動します。
よくあるご質問
企業の防災備蓄は何日分必要ですか。
3日分が目安です。東京都帰宅困難者対策条例では、事業者に対して従業員の3日分の飲料水・食糧等を備蓄するよう努力義務を定めています。災害発生から72時間は人命救助が優先されるため、その間は施設内に待機することが求められます。
備蓄は法律上の義務ですか。
努力義務です。条例は「備蓄するよう努めなければならない」と定めており、罰則はありません。東京都も、備蓄量の目安について法的拘束力を持つものではないと説明しています。ただしBCPや安全配慮義務の観点から、実施が望まれます。
東京都が定める備蓄量の目安を教えてください。
1人当たり3日分として、水9リットル(1日3リットル)、主食9食(1日3食)、毛布1枚です。その他の品目については、物資ごとに必要量を算定することとされています。
アルバイトや派遣社員も人数に含めますか。
含めます。東京都帰宅困難者対策実施計画では、対象を「雇用の形態(正規、非正規)を問わず、事業所内で勤務する全従業員」としています。委託業者の職員も含まれます。
備蓄にはどれくらいの保管スペースが必要ですか。
東京都は、100人×3日分の水・食料・毛布を高さ1メートルに積み上げた場合、床面積は約3平方メートル程度としています。200名であれば約6平方メートルが目安です。ただし簡易トイレや衛生用品を含めると、これより広くなります。
保管場所が確保できない場合はどうすればよいですか。
東京都のチェックリストでは「事前に備蓄品を従業員等へ配布しておく」方法の検討が挙げられています。1BOXに1人分をまとめて各従業員に配布する方法で、備蓄倉庫が不要になり、災害時の配付作業も発生しません。 企業・官公庁の防災備蓄のご相談
来訪者のぶんも備蓄が必要ですか。
東京都は、外部の帰宅困難者のために10パーセント程度の量を余分に備蓄することを検討するよう求めています。
拠点が複数ある場合はどうすればよいですか。
拠点ごとに、その拠点の人数分を保管することが原則です。全社分を1か所にまとめると、災害時に各拠点へ配送できません。本シミュレーターは複数拠点の入力に対応しています。
計算した内容で相談できますか。
「この内容で相談する」より、計算結果を添えてお問い合わせいただけます。5営業日以内に担当者よりご連絡いたします。