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中小企業のBCPのひな形(テンプレート)|中小企業庁の無料のWord様式と書き方

公開日 2026.10.27 読了目安 12分
明るい事務所の木の机の上に、白い紙を挟んだ黒いバインダー、銀色のボールペン、閉じたノートパソコン、無地の付箋が置かれている。奥には白いファイルが並ぶ棚と観葉植物があり、窓から日が差している。
目次

BCP(事業継続計画)を一から書こうとすると、何をどの順番で書けばよいか迷いがちです。中小企業なら、中小企業庁が公開している「中小企業BCP策定運用指針」の様式(ひな形)を使うと、書く項目と順番がそろった状態から始められます。様式はWord形式で、中小企業庁のサイトから誰でもダウンロードできます。

2026年10月時点で中小企業庁が公開している最新の版は、第2版(平成24年4月改訂)です。古い資料ですが、経営者が頭の中にある考えを書き出していく形なので、今も使いやすい作りです。日付の欄が「平成 年 月 日」になっているところは、令和に書き換えて使ってください。

この記事では、中小企業庁の指針をもとに、ひな形のコースの選び方と、様式を書く順番を、担当者が行う順に整理します。

この記事でわかることは、次の5点です。

  • 中小企業庁のBCPのひな形で、何が手に入るか
  • 4つのコースのうち、どれから始めればよいか
  • 入門コースの5つの様式を書く順番
  • 基本コースで増える様式と、必須・任意の分かれ方
  • 書き終えたあとに、配る・訓練する・見直すこと

BCPのひな形とは|国が公開している様式を、そのまま使える

ここでいうBCPのひな形は、中小企業庁の『中小企業BCP策定運用指針 第2版』に付いている記入シートのことです。指針の解説を読みながら、記入シートの空いた欄を埋めていくと、自社のBCPの初版ができあがる作りになっています。

中小企業庁のサイトでは、次のものがダウンロードできます。

  • 指針の本文(PDF)
  • BCPの様式(記入シート)。入門コース用と、基本・中級・上級コース用(Word。一括のPDFもある)
  • 書き上がったBCPの見本。入門コースには、製造業などの業種別の記入例がある
  • 財務の診断に使う表(Excel)

ただし、指針自身も、標準的なマニュアルどおりに計画を作ればよいわけではなく、自社の実態に合わせて工夫する必要があるとしています。ひな形は「何を決めるか」の目次として使い、中身は自社の言葉で書くのが基本です。

業種によっては、別のひな形のほうが合う場合があります。介護施設・事業所や障害福祉サービスの事業所は、厚生労働省が業種向けのひな形を公開しています(介護BCPで求められる3つの柱|研修・訓練の回数とひな形の使い方、障害福祉サービスのBCP|義務の根拠と研修・訓練の回数、未策定減算)。食品工場は、食品工場のBCPとは?策定方法・国のひな型・災害時の対策をわかりやすく解説で扱っています。

なお、中小企業庁のサイトでは、国が認定する「事業継続力強化計画」の策定も勧めています。こちらは別の仕組みで、BCPの重要業務とは?決め方の5ステップと業種別の具体例で触れています。

どのコースから始めるか|迷ったら入門コース

中小企業庁の『中小企業BCP策定運用指針 第2版』は、かけられる時間と手間に合わせて、4つのコースを用意しています。BCPを作るのにかかる日数の目安は、次のとおりです。

コース 何をするか かかる日数の目安
入門 経営者の頭の中にある考えを様式に書き、必要最低限のBCPを作る 経営者1人で1〜2時間程度
基本 目標復旧時間や緊急連絡先など、具体的な情報まで様式に書く 経営者1人で1〜2日程度
中級 考え方を学びながら、体系立ててBCPを作る 経営者1人で延べ3〜5日程度、または数人で2〜3日程度
上級 作ったBCPを、他社との連携やより深い分析で広げる 数人で延べ1週間程度

日数は計画を作るまでの目安で、会社の規模や事業の内容で変わります。作ったあとの教育や見直しには、別に時間が必要です。

どこから始めるか迷ったら、入門コースを選ぶよう勧められています。入門コースで初版を作り、次の見直しで基本コースの様式を足していく、という進め方もできます。

始める前に、指針の冒頭にある20問の「BCP取組状況チェック」に答えておくと、自社がどこまでできているかの目安になります。人・物・お金・情報・体制の5つの分野で、それぞれ4問ずつ「はい」「いいえ」で答える形です。

入門コースの5つの様式を、書く順番に

入門コースは、様式1から様式5までの5枚です。書く順番も、この並びのとおりです。ここでは、従業員20人ほどの卸売業を例に、各様式で決めることを整理します。

様式1 BCPの基本方針|何のために作るかと、守る商品を1つ

最初に、何のためにBCPを作るのかを決めます。様式には「人命(従業員・顧客)の安全を守る」「自社の経営を維持する」「顧客からの信用を守る」などの方針が並んでいて、当てはまるものに印を付け、足りなければ書き足します。

続けて、災害のときにも優先して続ける商品やサービスを「重要商品」として1つ書きます。卸売業なら、たとえば「主な取引先への定番商品の出荷」です。迷う場合は、止まると売上や取引先への影響がいちばん大きいものを選びます。選び方は、BCPの重要業務とは?決め方の5ステップと業種別の具体例でも整理しています。

様式2 被害想定|読んで、自社への影響をつかむ

様式2には、大きな地震(震度5弱以上)が起きたときに考えられる影響が、電気・水道・ガス、電話やインターネット、道路、鉄道と、人・物・お金・情報に分けて書かれています。ここは書き込むというより、読んで自社に当てはめる様式です。卸売業なら、倉庫の棚の商品が落ちる、仕入先が被災して商品が入らない、といった影響が思い浮かぶはずです。

様式3 重要商品提供のための対策|できていること、これからやること

様式3には、人・物・情報・お金とその他に分けて、9つの問いが並んでいます。安否確認の決まりがあるか、什器や棚を固定しているか、重要なデータを別に保管しているか、取引先や同業者と助け合いを取り決めているか、などです。

「はい」の問いには、今している対策を書きます。「いいえ」の問いには、これから何を、誰が、いつまでにやるかを書きます。お金のかかる対策ばかりではなく、複数の業務をこなせる従業員を育てるといった、お金のかからない対策から始めることも勧められています。

様式4 緊急時の体制|統括責任者と、代わりの2人

災害のときに全社の判断と指示を出す統括責任者を決めます。統括責任者が不在だったり被災したりする場合に備えて、代理責任者を2人決めておきます。様式には、当日の避難や安否確認、数日後からの取引先との連絡や資金の確保など、統括責任者が判断する対応の例が並んでいて、当日の行動の確認にも使えます。

様式5 BCPの運用|教育と見直しの決まり

最後に、作ったBCPを社内に根付かせる教育の計画と、見直しの基準を書きます。経営者が従業員にBCPの進み具合や問題点を説明する場は、年に1回以上つくることが勧められています。見直しは、取引先や商品、人事に大きな変化があったときと、毎年1回以上、対策の進み具合を確かめるときに行う、という基準が様式に書かれています。

基本コースで増える様式|必須は16、任意は9

基本コースからは、様式01から様式20まで(枝番を含めて25の様式)を使います。中小企業庁の『中小企業BCP策定運用指針 第2版』では、コースごとに、必ず使う様式(●)と、使うかどうかを選べる様式(△)が決められています。基本コースでの分かれ方を、目的ごとにまとめると次のようになります。

まとまり 基本コースで必須(●) 基本コースで任意(△)
方針と体制 01 BCP表紙・目次、02 BCPの基本方針、03 BCPの策定・運用体制 05 複数企業連携によるBCPの策定・運用体制
中核事業 06 中核事業に係る情報 07 中核事業影響度評価フォーム
代わりの手段と投資 08 事業継続に係る各種資源の代替の情報、09 事前対策のための投資計画、16-1 中核事業に係るボトルネック資源(設備・機械・車両など) 16-2 同(コンピュータ機器とソフトウェア)、16-3 同(その他の器具類)
顧客と仕入先 15 主要顧客情報、17-1 中核事業に必要な供給品目情報、17-2 主要供給者/業者情報 なし
連絡先 04 従業員携帯カード、11 主要組織の連絡先、12-3 従業員連絡先リスト(基本情報整理用)、14 電話/FAX番号シート 12-1・12-2 従業員連絡先リスト(一覧・個別用)、13 情報通信手段の情報
お金と保険 なし 18 保険情報リスト
避難と用具、地域 10 避難計画シート、19 災害対応用具チェックリスト 20 地域貢献活動

入門コースとの大きな違いは、優先して続ける事業(中核事業)と、それを止めてしまう設備や部品、人など(ボトルネック資源)を書き出し、目標復旧時間を決めるところです。中核事業や重要業務の考え方はBCPの重要業務とは?決め方の5ステップと業種別の具体例、目標復旧時間の決め方は目標復旧時間(RTO)の決め方|最初の数字が「案」にとどまる理由で扱っています。

連絡先の様式が多いのも基本コースの特徴です。顧客、仕入先、役所や電気・水道の窓口、従業員の連絡先を、災害のときにすぐ見られる形でまとめておきます。

様式19「災害対応用具チェックリスト」で、備えを確かめる

基本コースで必須の様式19は、外からの支援が届くまでに会社で用意しておきたい用具の一覧です。足りない用具は購入しておくことが望ましく、従業員と話し合って、ほかに必要なものがあれば準備を検討するよう書かれています。挙がっている品目は、おおむね次の種類です。

  • 従業員分の水と食料、食器、カセットコンロとガスボンベ
  • ラジオと懐中電灯、予備の乾電池
  • 救急箱、救助を求めるための笛
  • ヘルメットや防塵マスク、作業用の手袋などの防具
  • ウェットティッシュやトイレットペーパーなどの衛生用品、簡易トイレ
  • 毛布(できれば簡易ベッドやマットも)
  • 工具、文具、ごみ袋やほうき、ブルーシート
  • 現金、連絡先リスト、地図や建物のフロアマップ、拡声器

平成24年の様式なので、被害を記録するためのフィルムカメラなど、今の事務所に合わない品目もあります。スマートフォンと予備の電源で代えるなど、今の形に置き換えて確かめてください。

水や食料、簡易トイレ、毛布を何人分・何日分そろえるかは、職場の備蓄は何をどれだけ?携帯トイレと毛布の必要数で人数からの出し方を整理しています。

書き終えたら|配る・訓練する・見直す

様式を埋めたら、BCPの初版ができたことになります。ただ、中小企業庁の『中小企業BCP策定運用指針 第2版』も、BCPは作って終わりではなく、従業員が内容を知り、使える状態にしておいてはじめて意味を持つとしています。

  • 記入した様式は、災害のときに事業所の中ですぐ見られる場所に置く
  • 様式04の従業員携帯カードは、全員に配って持ち歩いてもらう
  • 従業員の電話番号などが変わったら、その都度直す。記入内容が古くならないよう、少なくとも年1回は見直す
  • 経営者が従業員にBCPの進み具合や問題点を説明する場を、年に1回以上つくる

書いた計画が実際に使えるかは、訓練で確かめます。机上訓練の進め方はBCPの訓練のやり方|机上訓練のシナリオの作り方と報告書のまとめ方、見直しのきっかけはBCPの見直しはいつ・何をきっかけに?公的ガイドラインが挙げる引き金で扱っています。

ひな形を使う前に確かめたいこと

最後に、中小企業庁のひな形でBCPを作るときの確認項目を、始める前・書くとき・書いたあとに分けて並べます。

始める前

  • □ 自社の業種に、所管の省庁が作ったひな形がないかを確かめている
  • □ 入門・基本・中級のどのコースで始めるかを決めている
  • □ 指針の冒頭の「BCP取組状況チェック」に答えている

書くとき

  • □ 基本方針と、優先して続ける商品・サービスを1つ決めている
  • □ 「いいえ」の対策に、何を・誰が・いつまでにを書いている
  • □ 統括責任者と、代理責任者2人を決めている
  • □ 日付の欄を令和に書き換えている

書いたあと

  • □ 様式を、災害のときにすぐ見られる場所に置いている
  • □ 従業員携帯カードを全員に配っている
  • □ 災害対応用具チェックリストで、足りない用具を確かめている
  • □ 訓練と見直しをいつ行うかを決め、予定表に書いている

よくある質問

Q. 中小企業のBCPのひな形(テンプレート)は無料ですか?Word形式ですか?

中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」のサイトから、誰でもダウンロードでき、費用はかかりません。様式はWord形式で、入門コース用と、基本・中級・上級コース用があり、それぞれ一括のPDFも用意されています。2026年10月時点の最新の版は、第2版(平成24年4月改訂)です。

Q. BCPのひな形は、どのコースを選べばよいですか?

初めて作るなら、入門コースから始めるのが勧められています。入門コースは様式1から様式5までの5枚で、基本方針、優先して続ける商品、事前の対策、緊急時の責任者、教育と見直しを決めます。初版ができたら、見直しのときに基本コースの様式を足していく進め方もできます。

Q. BCPのひな形は、どのくらいの時間で書けますか?

中小企業庁の指針が示す目安は、入門コースで経営者1人で1〜2時間程度、基本コースで1〜2日程度です。中級コースは延べ3〜5日程度、上級コースは数人で延べ1週間程度とされています。会社の規模や事業の内容で変わり、作ったあとの教育や見直しには別に時間がかかります。

Q. 介護や食品工場のBCPのひな形は、中小企業庁の様式と何が違いますか?

介護施設・事業所と障害福祉サービスの事業所は厚生労働省が、食品産業は農林水産省が、それぞれの業種向けのひな形を公開しています。介護と障害福祉は、運営の基準で計画づくりが求められている業種なので、業種向けのひな形を使うほうが、求められる項目と合わせやすくなります。

まとめ

中小企業のBCPは、中小企業庁が公開しているひな形を使うと、書く項目と順番がそろった状態から始められます。2026年10月時点の最新の版は第2版(平成24年4月改訂)で、様式はWord形式です。迷ったら入門コースの5枚から始め、見直しのたびに基本コースの様式を足していくと、無理なく中身を厚くできます。

書き終えたら、従業員携帯カードを配り、訓練で使えるかを確かめ、年に1回は見直してください。基本コースの災害対応用具チェックリストで見つかった不足も、BCPを仕上げる材料の一つです。

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出典

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